Z世代とは何なのか この言葉はどこから来たのか
Generation Z
これはもともと、アメリカで生まれたマーケティングのための言葉です。
もちろんこの前には Generation X Generation Y があります。
Generation X 1965~1980
Generation Y 1981~1996
Generation Z 1997~2012
それぞれの世代で、商品に対する価値観や購買行動に違いがあることから、マーケティング戦略のための言葉として産まれました。
ちなみに Generation X の由来は、1950年にハンガリー生まれの写真家 ロバート・キャリパー が出した、第二次世界大戦後を生きる若者たちをテーマにした フォトエッセイのタイトルから来ていて「未知の世代」という意味をもちます。
このため、後の世代が Y・Z とつづいています。
このように、マーケティングの為に生まれた言葉なのですが、こと日本では マスメディアの言葉として一般化しているように感じます。
あえて誤解をおそれずに言うなら、一種の差別用語として使われているような気もします。
お年寄りの言葉として、私たちが半ば冗談で使う「近頃の若いもんは・・・」 これを真似したような使い方ともとれますが、実際にはこの言葉の持つ意味合いそのものが、今と昔とでは全くちがうものです。
団塊の世代のさらに前の世代で、戦争を自ら体験している世代の人たちには昔ながらの思想や、歴史と伝統を重んじる傾向がありました。
そんな彼らが「戦争を知らない子供たち」に対して発する「近頃の若いもんは」という言葉には、深い意味を感じるところがありますが、現代に社会人現役の私たちの中での世代間のギャップを指す言葉として使えるようなものではないと思います。 それにもかかわらず、似たような事を面白がって言っているのです。
私たち現役の社会人が生きてきた時代は、経済的な変動こそあったものの、物質的に恵まれた豊かな時代であったことに変わりはありません。世代間ギャップをあえて大げさに取り扱うほどの違いは無いはずです。
私が社会人になって間もない頃、よく先輩たちから事あるごとに「新人類だから・・・」という言葉を使われて、バカにされていました。
笑う先輩たちを見て「バカにしやがって、追い越してやるから今にみていろよ」と思ったものです。
そして今の私たちも、彼らと同様なことをしているように思えてなりません。
私は昭和の世代で、いわゆる「つっぱり世代」でもありました。巨人の星 や アタックNO.1 を知っているような世代ですから、このように「今にみてろよ」となりましたが、現代の若い世代が私と同じような考え方をして奮起するとは思いません。 しかしこのような先輩たち(現在の私たち)に対して、内心イラッとしていることに変わりはないのでは? と思っています。
人間の心理というものは、バカにする共通の対象を探し共有することで、安心を得ようとする傾向があります。間違った仲間意識の中に、自分の居場所を見つけようとするのです。 学校のいじめが、けっして無くならない原因のひとつでもあります。
そして、いじめを行っている人たちが持つ共通の心理が「自分に自信がない」だといいます。
小学生や中学生が「自分に自信がない」のは、言ってみれば当然のことかもしれませんが、私たちのいる実社会にも、これは当てはまります。
他人をののしったり、陰口を言ったり、マウントを取って人よりも優位にたちたいと思う人の共通の心理に「自分に自信がない」があるのだといいます。
昔読んだビジネス書の中に、面白いものがありました。 著者の名前は憶えていませんが、たしか海外のビジネス書だったと記憶しています。
その著書が言うには「大事なプロジェクトを成功させたければ、そのチームの中にひとりバカを入れろ」と言うのです。笑われても笑って答えていられるような、今風でいう「メンタルの強い」バカです。
こうする事によってチームの中に団結心が生まれ、プロジェクトが成功すると言うのです。
もちろん現代の日本で、このようなことを意図的にやったとしたら、問題になると思うのですが。
要するに、私たちも知らず知らずのうちにバカにする対象をつくって、安心を得ようとする傾向があるというのです。 そして、そこに刺さってくるのがメディアからの「煽り」です。
よくTVのバラエティ番組で、現代の若者としてZ世代を扱ったものが見られますが、そこに出てきてインタビューを受けているのはたいがい「すこし変わった若者です」
そして、それを見た私たちが「最近の若者は変わっている」と鵜呑みにしてしまうのです。
マスコミの仕事は事実を伝えることです。それと同様に大切にしなけらばならない仕事が「視聴率を取ってスポンサーをつける」ことです。
そのためには面白おかしい題材を取り上げなくてはならないですし、ときには多少の誇張も必要です。それを見た私たちが、これこそが真実だと鵜呑みにしてしまうのは大きな間違いです。
実際に大人たちが「Z世代」としてひとくくりにしている中にも、さまざまな個性があります。
優秀な人もいれば、それほどでもない人がいても当然です。
私たちの同世代にも、その前の年代にも、後の年代にも「ちょっと変わったひと」というのは必ず存在しました。そして、いつの時代にも「最近の若者」として引き合いに出されてきました。
そして現在、その引き合いに出されているのが「Z世代」ということなのではないかと思います。
私の著書「Z世代の心をつかめ 心理学から学ぶ世代を超えた新人教育」の中にもありますが、 否定をせずに受け入れることの大切さを理解していただければ幸いです。
0件のコメント